著者公益社団法人化学工学会安全部会
出版社化学工学日報社
発刊日2022年12月
価格10,000円(税別)
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推薦のことば

「プロセス安全管理ガイドライン」作成のワーキンググループは、従来は安全管理の構成要素の議論が主であったものを、一度全体像を俯瞰しようという試みから始まった。この視点は、安全管理の構成要素を緻密に整備したとしても、安全管理の達成度は、最も低いレベルの構成要素で決まってしまうと言われている。
プロセス安全管理を、従来の「爆発・火災」や「HSE」)」の枠で捉えることも必要であるが、将来を考えたときに、「いかなる範囲でプロセス安全管理を捉えるのか」をも十分に検討しておくべきであり、就業者のみならず社会のHSEに関わる意識や広がりに気付けば、安全管理の仕組みを長期的な視野を持って柔軟に拡張できることも必要であろう。
HSE の延長線上で進化しているProcess Safetyは、施設や事象を限定せず、重大事故の発生防止、影響緩和、更に情報技術は不可欠なことから情報セキュリティを含めたHSEに焦点を当て、サプライチェーンも含めPSMの意識を拡大しつつある。加えて、安全管理を技術中心のテクニカルスキルを整備することは必要であるが、そこでの就業者らの就業意欲が向上するようなメンタルな環境整備も働き方改革の一つとして重要になっている。
 一つのサブマネジメントは複数の委員が自主的に参加し執筆し、それを他の委員は数回読み合わせて、全体の整合性を取ってきた。一連の流れは自発的に起こったことであり、これだけの意欲を持って、全体像を様々な角度から自発的に議論したのは日本では初めてのことであり、プロセス安全管理が将来に亘って発展しつつ、且つ理解が深まり定着していくことを願って止まない。
日本が、PSM 、技術、安全スコアにおいても、世界をリードするようになることを願い、本書がその参考になれば、幸いです。